NARUTO疾風伝1時間スペシャルにて、ナルトとサスケのラストバトルが放送されました。
もう観ていただけましたでしょうか。
前半30分は第696話『最後の闘い』
後半30分は第697話………タイトルは言えますか?
697話のタイトルを見たよという方のみ、この先にお進みください。
それくらい、ラストバトルのネタバレが沢山あります。
ぜひ放送をご覧になってから覗いてみていただきたいです。
ナルトとサスケのラストバトルを制作担当させていただいた赤メガネです。
いやあ、この数か月間ずっとナルトとサスケの事ばかり考えて仕事していたので、
未だに終わった実感が無かったりします(^^;
実に大変な数か月でした…。
なにしろ2話数連続担当というのも初めてのことだったので。
(普通なかなかやらないと思います)
最初は、デスクさんに「山下さんの話数担当させてあげるね!」と言われて、
以前より希望していた私は「わーい」と無邪気に喜んでいたのですが…
まさか2本とは。
そしてまさかラストバトルとは。
とても光栄でした。
2本で約650カット、枚数は…怖くて言えない…
とにかく様々な工程が2倍かそれ以上。
一番大変だったのは演出・作監の山下さんだったとは思うのですが、
制作側もひたすら目まぐるしかったです。
最初に予告のお話をちらっと。
695話に付いてきたスペシャルの予告は観ていただけましたか?
あの予告は山下さんのこだわりです。
スタッフの間でも色々な意見があったのですが、
最終的に山下さんの希望通りにしましょうということになりました。
あの映像は予告でしか観られないのです。
背景は動画さんに描きおろしてもらって(線画なので)、
色も新しく色指定さんに用意してもらい、
仕上げさんに予告用/本編用の2種類の色で塗ってもらいました。
実はけっこう手間がかかっています。
もちろん本編ではちゃんと全部色が付いています。
そして、これは気づいた方だけニヤリとしてもらいたいことなんですが…
空が曇り気味なのは第133話『涙の咆哮!オマエはオレの友達だ』のオマージュになっています。
なので、それに合わせてキャラの色も抑え目です。
2体の石像はサイバーコネクトツー様のご協力で、
PlayStation4ゲーム『ナルティメットストーム4』のCGを参考にレイアウトさせていただきました。
EDにいつもと違うクレジットがあったことに気づいた方もいらっしゃるのでは。
いつもと違うクレジットと言えば、「作画協力」の欄もですね。
今回、オレンジ様のスタジオをお借りして、ロトスコープの撮影を行いました。
人間の動きを撮影して、アニメに落とし込むというやつですね。
696話の体術(少し)や、697話のボロボロの殴り合いなどは、
そうして撮影した映像を参考にすることで、よりリアルにしています。
そういった感じで、皆様の力をお借りしてお届けしたラストバトルになります。
一つ一つのカットにかなり色々込めておりますので、ぜひ何度も観返してみてくださいね。
さて、今回は山下さんの作監修正をブログに掲載する許可をいただきましたので、
少しご紹介したいと思いますo(^^)o
カッコイイですね!
今回はナルトもサスケも、原作に近い絵柄を意識して作画されています。
顔だけでなく、サスケの髪とかも見比べていただくと分かると思います。
そして特に今回のサスケは、怖ーい顔をしています(^^;
制作の間でも、なんて殺意に満ちた目をしているの…とちょっとした話題になりました。
サスケセレクション。
ナルトを本気で亡き者にしようとしているのが伝わってくるようです。
一方のナルト。(注:ナルトです)
こちらは殴られた時の表情まで細かくこだわっています。
映るのは一瞬ですが…中にはこのようにとんでもない顔をしているのがあります。
うう、痛そう…
ちょっとサスケ多めになってしまったので、
ナルト君のかっこいいショットも掲載させていただきますね。
クラマと一緒のカット。
主人公の風格です。
それからこの度、参加していただいた原画の黄成希さんから、
レイアウトや原画やコメントを掲載する許可をいただいたのでご紹介します。
こちらは原画。
この697話ラストシーンをはじめ、
696話で20カット、697話で50カットものシーンを担当して頂きました。
↑のカットは作監修正がほとんど入らなかったので、ほぼ黄さんの絵柄。
気合を入れて描きましたとのことです。
以下は黄さんのコメントです。
「特に工夫したのは、
696話でナルトの感情が湧き上がって叫びながらサスケと衝突するシーンです。
試行錯誤ばかりでしたが、感情芝居はもちろん気を抜かず、
尾獣玉と千鳥がぶつかるエフェクトの表現も雰囲気を合わせて派手にしたかったです。」
こちらがそのシーンのレイアウト。
カッコイイです!
口の動きも細かく作成されているんですよ。
そして黄さんからもう一言。
「一番好きなシーンは、山下さんが原作に基づいて演出された、
みんなの手がナルトの手に集まってできる螺旋丸のシーンです。
サスケの手に一瞬現れた手もぜひ見逃さないようにしてください。
二人が長年歩いてきて背負ったものがこれで決着をつけるその直前、
この感情の重さと迫力をちゃんと視聴者様方に伝えて届けたいと思いました。」
最後のシーンですね。
あそこも黄さんの担当カットです。
最後の螺旋丸に関しては、あんまり深く語らなくても、
ファンの皆さんであれば分かっていただけているんじゃないかと思います。
というかあんまり言うと、イメージを固めてしまいそうで怖いような気もしますし。
観てくださった方の考えがそれぞれあると思いますから、
それを大事にしていただきたいです。
でも、少しだけ裏話を言いますと…
あ、一応、夢を壊されたくない方は飛ばしてください(^^;
螺旋丸に集まる手は、山下さんと黄さんと私の3人でロトスコ撮影をしました。
とある日、夜も更けたぴえろ社内の一室で、粛々と行っておりました。
男性の手が山下さんと黄さん、女性の手が僭越ながら私です。
なので、手の動きもリアルな感じになっているのではないでしょうか。
特に、最後に出てくる手はサクラちゃんの両手なのですが…
撮影の時、山下さんも
「他の皆は片手だけど、最後のサクラだけは両手にしてほしい」
と仰っていて、 思い入れを感じてとても緊張しました。
サクラちゃんの両手と言えば医療忍術…
いつも皆を助けてくれる優しい両手をイメージしながら、
ナルトとサスケのことを強く考えて、あのような動きになりました。
一瞬ですけど、あのシーンは山下さんのこだわりが詰まったカットなので、
観て下さった方に何かを伝える手助けに少しでもなっているといいのですが。
映像を観たら、指の曲がり具合まで再現してくださって感動。
(しかも実物より何倍も綺麗に!笑)
実は、山下さんが手がけられた以前のOP『LINE』でも、
手の撮影で参加させていただいたのですが、
今回また参加することができて大変嬉しかったです。
今回ご紹介しきれなかったのですが、
他にも様々な方の御力をお借りして、なんとか放送まで辿り着くことができました。
原画様もNARUTO愛に満ちた方が本当に多かったですし、
(比較的若い方多めなのも珍しかったかもです)
たくさん助けていただきました。
もちろん原画担当以外の方々も、
EDテロップに載っている名前が一人でも欠けていたら完成しなかったと思います…。
ただまあ、実は直しきれなかった色々があったりするので、
それはDVD修正をお待ちくださいorz
ぜひお買い求めくださいねー!
それまでは、録画を観返してお気に入りのシーンを見つけていただければと思います。
次回のNARUTO疾風伝は10/6放送の第698話『和解の印』です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/naruto/trailer/index.html
なんだか、ラストバトルの後だとサスケの顔が優しく見える…。
作風の違いが楽しめるのもNARUTO疾風伝ならではです。
お楽しみに!
私はちょっと遅い夏休みを取ります…。
制作:赤メガネ